1 消防防災ヘリコプター「ふくしま」の運航基準

 消防防災ヘリコプターの運航基準については「福島県消防防災ヘリコプター運行管理要綱」及び「福島県消防防災ヘリコプター緊急運航要領」の定めるところによるが、概要は次のとおりである。

1 消防防災ヘリコプターは、次に掲げる活動等で、ヘリコプターの特性を十分活用することができか
 つ、その必要性が認められる場合に運航するものとする。

(1)救急活動
  ア 山村、豪雪地域等陸上交通の不便な地域からの緊急患者の搬送
   交通遠隔地から緊急に傷病者の搬送を行う必要がある場合で、救急車で搬送するよりも著しく有効であ
   ると認められ、かつ、原則として医師が搭乗できる場合。
  イ 傷病者発生地への医師の搬送及び医療器材等の輸送
   交通遠隔地において、緊急医療を行うため、医師、医療器材等を搬送する必要があると認められる場
   合。
  ウ 高度医療機関への傷病者の転院搬送
   高度医療機関での処置が必要であり、緊急に転院搬送を行う場合で、医師がその必要性を認め、かつ
   医師が搭乗できる場合。
  エ その他、特に航空機による救急活動が有効と認められる場合 

 

(2)救助活動
  ア 河川、湖沼等での水難事故及び山岳遭難事故等における捜索・救助
   水難事故及び山岳遭難事故等において、現地の消防力だけでは対応できないと認められる場合。
  イ 高層建築物火災における救助
   地上からの救出が困難で、屋上からの救出が必要と認められる場合。
  ウ 大規模地震・山崩れ等の災害により陸上交通が遮断された被災者等の救出
   山崩れ、洪水等により、陸上からの接近が不可能で、救出が緊急に必要と認められる場合。
  エ その他、特に航空機による救助活動が有効と認められる場合。

(3)火災防ぎょ活動
  ア 林野火災等における空中からの消火活動
   地上における消火活動では、消火が困難であり、航空機による消火の必要があると認められる場合。
  イ 大規模火災における情報収集、伝達及び住民への避難誘導等の広報と作戦指揮
   大規模火災、爆発事故等が発生し、または延焼拡大のおそれがあると認められ、広範囲にわたる被害
   状況把握調査、情報収集活動を行う必要があると認められる場合。
  ウ 交通遠隔地等への消火資機材及び消火要員等の輸送
   交通遠隔地等の大規模火災等において、人員、資機材等の搬送及び輸送手段がない場合または航空
   機による搬送及び輸送が有効と認められる場合。
  エ その他、特に航空機による火災防ぎょ活動が有効と認められる場合 

(4)災害応急対策活動
  ア 地震、津波、台風、豪雨及び豪雪等の災害の状況把握並びに応急対策指揮
   地震、台風、豪雨、洪水等の自然災害が発生し、若しくは発生するおそれがある場合で、広範囲にわた
   る状況把握調査、情報収集活動を行うとともに、その状況を監視する必要があると認められる場合。
  イ 孤立した被災地等への緊急物資、医薬品等の輸送及び応援要員、医師等の搬送
   災害が発生し、または発生するおそれがある場合で、食料、衣料、その他の生活必需品・復旧資材等の
   救援物資、医薬品、人員等を緊急に輸送または搬送する必要があると認められる場合。
  ウ 石油コンビナート、高速道路等での大規模災害事故等の状況把握及び応急対策指揮
   石油コンビナート事故、高速道路等での大規模事故等が発生し、若しくは発生するおそれがある場合で
   広範囲にわたる状況把握調査、情報収集活動を行うとともに、その状況を監視する必要があると認めら
   れる場合。
  エ 各種災害時における住民への避難誘導及び警報等の伝達
   災害が発生し、または発生するおそれがある場合で、災害に関する情報及び避難命令等の警報、警報
   等を迅速かつ性格に伝達するため必要があると認められる場合。
  オ その他、特に航空機による災害応急対策活動が有効と認められる場合

(5)広域消防防災航空応援
  ア 広域航空消防防災応援に関する活動
   他県等からの応援要請があり、出動する必要があると認められる場合。   

(6)災害予防対策活動
  ア 災害危険箇所等の調査
   危険箇所を調査するにあたり、航空機での調査が有効と認められ場合。
  イ 住民への災害予防の広報

(7)各種防災訓練への参加
  ア 県主催の防災訓練
  イ 市町村または消防本部主催の防災訓練
  ウ その他合同訓練

(8)自隊訓練のための活動
  緊急運航に備えての、救助訓練、消火訓練、物資輸送訓練。

(9)一般行政活動
  消防防災業務を阻害しない範囲において、運航責任者が必要と認めた場合。

(10)その他総括管理者が必要と認める活動


2 消防防災ヘリコプター「ふくしま」緊急運航

 福島県消防防災ヘリコプター(以下「航空機」という。)の緊急運航の応援要請は、「福島県消防防災ヘリコ
プター緊急運航要領」の定めるところにより、その概要は次のとおりである。

1 緊急運航の要件
  次に掲げる要件を充たす場合に、運航することができるものとする。

区 分 内            容
公共性 災害等から県民の生命、身体及び財産を保護し、被害の軽減を図る目的であること。
緊急性 差し迫った必要性があること。(緊急に活動を行わなければ、県民の生命、身体及び財産に重大な支障を生ずるおそれがある場合。)
非代替性 航空機による活動がもっとも有効であること(既存の資機材、人員等では十分な活動が期待できないまたは活動できない場合。)

2 要請の原則
  現に災害が発生した場合で次のいずれかに該当するとき、市町村または消防事務を所轄する一部事務
 組合の機関の長が要請するものとする。
 (1)災害が隣接する市町村等に拡大し、または影響を与えるおそれのある場合。
 (2)発災市町村等の消防力によって防ぎょが著しく困難と認められる場合。
 (3)その他救急搬送等、緊急性があり、かつ、消防防災ヘリコプターによる活動が最も有効な場合。

3 応援要請手順
 
 (1)消防防災ヘリコプターの要請は、電話等により次の事項について連絡を行うものとするが、事後速や
   かに福島県消防防災航空隊出動要請書を福島県消防防災航空センター所長に提出するものとする。
  ア 要請機関
  イ 災害種別
  ウ 災害発生の日時、場所、被害の状況
  エ 災害検索地図番号
  オ 災害発生現場の気象状況
  カ 災害現場の最高指揮者の職、氏名及び連絡方法
  キ 場外離着陸場の所在地及び地上支援体制
  ク その他必要事項

 (2)救急(転院)搬送の要請は「ヘリコプターによる緊急搬送活動要領」の手続きによる。
 (3)運航責任者は、出動の可否を決定し、運航指揮者に指示するとともに要請者に回答する。
 (4)運航指揮者は、緊急運航の要請を受けた場合には、直ちに要請内容に対応する出動態勢を整える。

4 市町村等の受入れ態勢
  防災航空センターと密接な連絡を図り、必要に応じて次の受入れ態勢を整えておく。
 (1)離着陸場所の確保や安全対策をとる。
 (2)傷病者等の搬送先の離着陸場所や病院等への搬送を手配する。
 (3)空中消火用の資機材や空中消火用の基地を確保する。
 (4)その他必要な事項について態勢を整える。

5 緊急運航後の報告
  緊急運航が終了した場合には、次により報告する。
 (1)隊長は、運航責任者に『緊急活動速報』により報告する。
 (2)市町村等の長は、運航責任者に『緊急活動報告書』により報告すること。